校長ブログ

2025.10.27

企業理念と校訓

少し前のことなのだが…。台風が関東地方に接近したことで風雨が急速に強まり、安全面の配慮から午前中の授業が終了した時点で生徒を全員下校させた、ということがあった。横浜市内には朝から休校にした学校もあったようだが、多くの学校が本校と同じような対応になったようだ。

ただ一つ問題があった。横浜隼人は最寄りの駅まで徒歩だと20分ぐらいかかるので、多くの生徒が駅から学校までは路線バスを利用している。このバスは登下校時は多くの便が発着するものの、通常日中は1時間に1便ぐらいしか走っていない。このままだと多くの生徒がすでに強まっている風雨の中を駅まで歩かなければならない。そこで、僕は臨時の増便をお願いできないものかとバス会社の営業所長さんに電話を入れた。取り急ぎ趣旨を説明しようとしたのだが、所長さんの方から「横浜隼人さんは午前中で授業終わるんですよね。何時ごろが下校のピークになりますか?」と言われてしまった。僕はびっくりして「なんでうちの学校の動きを知ってるんですか?」と聞き返した。所長さんの説明によると、そういうことになるはずだと、バス路線沿線のすべての学校のホームページを見て、バスの増便の手配を行っているところだというのだ。「運転手が不足していますのでご満足のいくような増便が可能かどうか分かりませんが、精一杯対応させていただきます。」とのこと。

僕はその高いプロ意識に少なからず感動してしまった。サービス業として地域社会のニーズ、困りごとに積極的に対応しようとする姿勢は敬服に値する。もちろん、通常の便だけだと車内が生徒で溢れかえってしまって一般の乗客に迷惑がかかってしまうので、その緩和のためという目的もあるに違いない。それにしても、各学校の生徒は定期券で乗車するわけで、コストが増えるのに収入は増えるわけではないのだ。

ふと、この会社(企業グループ)の企業理念が気になってホームページを見てみた。基本理念として「…は、快適な暮らしをサポートする事業を通じてお客様の喜びを実現し、地域社会の豊かな発展に貢献します。」とある。正に、この理念を実践しているのだ。理念の文言そのものを社員の皆さんがどこまで意識しているか定かではないが、普段の企業活動の中で“平然と”実行されているというのは素晴らしいことではないか。

翻って、わが校はどうか?学校で企業理念に相当するものは、建学の精神や校訓だと思う。横浜隼人の校訓は「必要で信頼される人となる」というものだ。実に簡単な言葉が並んでいるのだが、それだけに奥が深いと感じている。この場でその解釈について詳しく述べることはしないが、上述のバス会社の例にみられるように、教職員全体が普段からこの校訓を意識した取り組みをすべきであるということを、改めて強く認識した次第である。

秋は学校説明会のシーズン。横浜隼人では校長が会の冒頭に挨拶をすることになっている。僕はその中で、この校訓を受験生とその保護者に繰り返し強調すると同時に、教職員にもその重要性を再認識してもらうように注力しているところなのである。

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