校長ブログ
政治教育ができないか!?
今年は世界的には“選挙イヤー”ということらしい。海外では、台湾総統選挙、ロシア大統領選挙、韓国総選挙、インド総選挙、欧州議会選挙、そして米大統領・連邦議会選挙など、文字通り世界の行方を左右する大国の選挙が目白押しであった。そして、日本では10月下旬に衆議院議員選挙があったばかりだが、その他注目を集めた選挙として、東京都知事選挙や兵庫県知事選、名古屋市長選などがあった。
国内外に多くの課題を抱えている中、政策を議論する議員を選出する選挙は大変重要であるのは言うまでもないが、若者の関心は低い、と言われている。確かに、年代別の投票率を見てみるとその傾向は明らか。この若者の政治に対する関心を惹こうと、政治家も行政もいろんな取り組みをしているようだが、効果のほどはそうでもない。そりゃそうだと思う。自分の一票だけで世の中が変わるとはとても思えないし、投票日はだいたい日曜日なので遊びに行きたいし…。
一つ提案したい。学校(高校)の授業で政治を教えるのである。現在の公民の授業では三権分立とか、衆議院の任期とか、仕組みばかり教えることになっていて、こんなの覚えること以外にやることはないし、どう考えても興味は湧かないだろう。国内外で今何が争点になっていて、各政党がどんな主張をして、国会論戦ではどんな政治家がどんな発言をしているのか、などについて授業で教えてみてはどうか。足許であれば、103万円の壁や政治資金規正法の再改正などについて、生徒たちの意見を求めるのも面白いと思う。
一方で、昨今の選挙はSNSの影響力の大きさについても指摘されている。確かに、今や選挙に限らず通常のビジネス活動もSNSの利用抜きには考えられない。これが一定程度若者が選挙へ関心を向けることに貢献しているのだとすれば、うまく活用できればそれに越したことはないと思う。ただ、SNSの特質上偽情報も混じっているだろうし、それも含めて自らの主張がどんどん先鋭化していき、ひいては社会の分断を引き起こしてしまうというのも事実であろう。であれば、それも同じ授業の中で教えるのはどうだろう。情報収集に当たってのニュースソースごとの留意点や、いずれの情報も鵜呑みせずに一度立ち止まって考えみる、などを学ぶことができれば、もっと良いのではないだろうか。
学校という場なので、政治的に偏った教え方になってはいけないわけで、これがどれほど難しいものなのか重々承知の上だが、現在の“生の政治”を授業でそれこそ生々しく教えることで、高校生の関心度はグッと高まるはず。高校を卒業するときには全員選挙権を手にしているのだ。教育機関として工夫のしどころであろう。