校長ブログ

2025.5.25

「あんぱん」から学ぶ教員という職業

6~7年前からNHKの連続テレビ小説(朝ドラ)にはまっている。この間、見逃した回は3回もないと思う。作品によってネット上では様々な批評がされているが、僕は評判が良くない作品でもそれなりに楽しんでいる。そんな中、現在放映中の「あんぱん」は名作の予感がする。

漫画家やなせたかしさんを支えた妻をモデルにした実話に基づいた話である。今田美桜さん演じる朝田のぶは、戦時下、故郷の高知県で小学校の教師をしている。明るく溌溂とした朝田のぶは、生徒みんなから親しまれているが、知らず知らずのうちに子供たちに軍国主義を植え付けてしまう。男子は教室で「僕たちも早く兵隊さんになって、お国のために命を惜しまず戦いたいがです!」と“立派な”決意を口にする。皆から親しまれている“良い教師”であるがゆえに、その影響力は格別に大きい。

 

テレビドラマの、しかも特殊な時代背景での話とは言え、生徒に対して教員が発する言葉の影響力に今更ながら気づかされた気がする。僕自身は中学高校時代には、ほとんど教員とは関わっていなかったので何の影響も受けていないが(笑)、今の若い教員の中には、自身が教員を目指した動機として「中学や高校の時にとても尊敬できる先生がいて、その先生に憧れて…」という声も決して少なくなく、そんなに素晴らしい教員もいるのだということを、恥ずかしながら初めて知った。教員という職業を目指すかどうかは別にして、憧れの教員の人格そのものを尊敬するのなら良いのだが、その思想や価値観みたいなものまでをも盲目的に尊重することになってしまうと、場合によっては良くない結果を産んでしまうこともあるかもしれない…

 

そんなことを考えていたら、教育界の改革者・工藤勇一先生が「朝ドラをみて、改めて思う。『心の教育』は洗脳になる。素敵な先生と慕われている先生の言葉の罪はなおさら思い。」とSNSに投稿されていた。洗脳とはやや極端と思うが、長年教育界に身を置かれ、かつ人一倍問題意識の高い方の言葉であるだけに重く受け止める必要があると思う。

 

では、どうすれば良いのか?教員が自分の価値観みたいなものを押し付けることないように十分に注意することはもちろんだが、何よりも生徒自身に考えさせることが大事なのだろうと思う。自分で考えて、自分で判断させるように仕向ける必要があるし、批判的に考える癖をつけさせることも必要だろう。

 

朝ドラを楽しみながら、教員は本当に重責を担っているんだなぁと、再認識させられている次第である。

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