校長ブログ
「先生」と言う職業
先生と呼ばれる職業は、すぐにいくつか思い浮かぶ。学校の教員、医者、弁護士、政治家…等、いわゆる“士師業”といわれる職業に多い。教師、医師、弁護士、代議士…という感じ。
この“先生”たち、実は普通の職業とは少し違う特徴があるのではないかと思っている。その特徴とは…
一つは、「お金を払う側がお礼を言う」ということ。もう少し言うと、場合によってはお金をもらっているのにお礼を言わないケースも多い。病院で診察を終えた患者がお金を払うときに「ありがとうございました。」と言うのに対し、病院側は「お大事に!」。学校はどうか。学校としてすべてのサービスの提供を終えた卒業式。卒業生、保護者とも「お世話になりました。ありがとうございました。」に対して、教師は「ご卒業おめでとうございます」。3年間ないしは6年間、多額のお金を払ってもらったのに、である(笑)!
もう一つの特徴は、先生同士が「〇〇先生」と呼び合うということ。「先生」と呼ばれる職業はどれも現代社会の中でより大事であるとされていることが多く、恐らく、そういったことを背景に互いに敬意を払って接している結果なのであろう。ただ、これは先生じゃない職業の人からすると、実に異様な光景にしか映らないと思うのだが、いかがであろうか。
そんな理屈っぽいことを言ってどうする、という声も聞こえてきそうだが、僕が言いたいのは、先生というのは、これらの特徴によって“勘違いしやすくなってしまう”のではないかということ。人間は言葉の動物なので、普段使用している言葉によって意識が大きく影響を受けていると思う。学校の先生について言えば、20代の前半から生徒のみならず、自分の倍以上歳上の保護者からも「先生、先生」と言われ続ければ、「私は生徒を教育指導している立派な大人なんだ」という思いが強くなっていっても不思議ではないと思う。これは本当に気をつけなければならないことだ。 我々教員は、自分の担当教科の専門家として生徒の学力向上に努める以外は、生徒よりも「“先”に“生”まれた」人生の先輩として、アドバイスやサポートをすることしかできないのではないかと思う。
なぁ~んてことを、「先生」と呼ばれることに未だに大いに違和感を感じている僕は思ってしまうのである。この違和感を大事にして決して勘違いしないよう心掛けると同時に、そう呼ばれるのに相応しい人間に少しでも近づけるように、日々努力しようと思っている。