校長ブログ
持つべきものは友
先日、久々に元職(銀行員時代です)の友人と会った。彼(以下、W君)とは1985年の同期入行で同じ独身寮に入寮し、正に寝食を共にした仲だ。220人いた同期の中でも、W君の存在は僕にとって非常に大きかった。その類稀なリーダーシップと行動力は、傍で見ていて非常に眩しく感じたし、少しでも追いつこうと大いに意識したものだった。
そんなW君は、銀行員として脂の乗ってきた40代の半ばにさっさと銀行を辞め、外資系金融機関、事業会社と転籍を繰り返しながら、今は再び投資銀行業務に携わっている。どうやら常に高いレベルで自分の力を試さずにはいられない性分のようで、いつもどんどん自ら道を切り開いていくのだ。何年たっても変わらない飽くなき向上心とチャレンジ意欲には、本当に敬服させられる。
その日の二人の会話の中で、ふと僕は以前に銀行の先輩たちから聞いた話を思い出した。それは、60を過ぎた辺りから急に仕事に対する意欲がなくなって来る、というもの。もちろん全員がそういうことではないと思うが、それでも体力的な衰えも隠せなくなってくるし、そんなものかな、とも思う。すると、それに対してW君の見解は「銀行員時代の充実した仕事から比較するとやり甲斐などの面で物足りなくなって、そうなっちゃうんじゃないの?」というものであった。
銀行という業種は決して経済の主役ではないのだが、偉大な脇役として日本を、そして世界を支えている存在だ。漫才で言えば、ツッコミの役回りであろうか。製造業やサービス業などの“実業”と言われる業種が主役のボケであり、ツッコミの銀行がいかにそれを引き立てられるかで、経済社会がうまく回るかが決まると言っても過言ではない。50代前半で出向→転籍となる銀行員は、60過ぎではほぼ全員が他業界で働いている。“偉大なツッコミの役回り”にやり甲斐を感じていた元銀行員は、少しずつ仕事に対する意欲が減退してしまうことがあっても不思議はないのかもしれない。
翻って、僕はどうか?幸いなことに全く意欲の減退はない。むしろ、教育業界というこの国を支える根幹の仕事に就くことができて身の引き締まる思いであり、ますます意気軒昂である(笑)。そして、何か新機軸を打ち出すことができないかと、ない知恵を振り絞っている毎日だ。こういうご縁を頂いて、本当にありがたいと感じている。
もちろん、W君も相変わらずギラギラとしたエネルギーに満ち溢れており、彼と会話を交すことで大いに刺激をもらったのであった。これはこれで、実にありがたいご縁である。
なんだか、日経新聞の『交遊抄』のようになってしまった(笑)。
持つべきものは友、だ!